研究開発プログラム

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演劇ワークショップをコアとした地域防犯ネットワークの構築

平田 オリザ(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 教授)

プロジェクトトピックス

平成22年8月6日

概要

平田 オリザ

本研究開発では、演劇ワークショップ(以下WS)の手法を用い、防犯啓発劇を子どもたちが自ら作り、発表までを行うプログラムを研究開発する。効果の実証データと共に、継続可能な施策として自治体等に政策提言を行う。演劇を用いたコミュニケーション教育の有効性は広く認められ、その人材育成、学校現場への導入も急速に進みつつある。この流れの中で、コミュニケーション教育の手法を活用した防犯教育プログラムの開発が本件の目的となる。
 こういったワークショップ型の活動を推進できる存在をコミュニケーションティーチャー(以下CT)と呼んでいるが、本研究開発では、防犯教育に特化した防犯コミュニケーションティーチャーの育成と、そのプログラム開発を行う。

プロジェクトで取り上げる社会問題の現状や背景・社会的ニーズ

現代の子どもが置かれた環境を考えてみると、地域のコミュニティ機能の低下に伴い、多様で異質な大人と関わる機会が減っており、またバーチャルなコミュニケーションが氾濫している状況で、子ども達は自らの身を守るためのよりどころとなるべき「基礎的なコミュニケーション能力」が不足している。
 そこで、演劇WSを活用した「コミュニケーションティーチング」の手法を用いることで、犯罪に巻き込まれにくい「考え方」や「感覚」、危機に際しての「対応力」、つまり総合的な防犯の「実際力」を身につけられる事が期待できると考える。このプロジェクトは、現在「個人」も「社会」も失いつつある「コミュニケーション能力」を再生させ、かつて地域社会が持っていた防犯能力(無意識のセーフティネット)を現代に即した形で復活させるための研究開発である。

このプロジェクトで目指す成果とその対象

  1. 小学生低学年を対象とした、リアル犯罪向け防犯演劇WSコンテンツ
  2. 小学生高学年以上を対象とした、サイバー犯罪向け防犯演劇WSコンテンツ
  3. 1)、2)のWSに連動したWebコンテンツ(演劇WS支援ツール・e-ラーニング・連絡ツール)
  4. 3)のプログラムを運用する主体(学校、劇場等)をコアとした「地域防犯コミュニティ」作りのための政策の提言をまとめた政策提言書
  5. 1)、2)を実施する主体となる防犯CTを育成できる指導者(首都圏、関西で2名づつ計4名)
  6. 実際のWSを行う防犯CT(首都圏 関西で8名づつ)

科学的手法・知見の活用・創出

防犯演劇WSコンテンツを地域防犯へとつなぐ「Webコンテンツ」

  1. 犯演劇WS支援ツール(リアル犯罪編、サイバー犯罪編)…防犯演劇WS普及を目的とし、映像出演の俳優と現場のCTによるワークショップを開発する。(WS現場に行く講師を減らす事ができ、経費削減を行って、低予算で広くWSを実施することが出来る)
  2. e-ラーニング(学校用、家庭用)…防犯演劇WSと連動した内容のインターネット学習ツールである(例○×問題やアニメーション等)
    学校用は、 防犯演劇WSの学習内容を進めていく内容であり、 防犯演劇WSで学んだことやインパクトを、ある程度時間をかけて、子どもに定着させることを目的とする。防犯演劇WSの登場人物が出演するなどして、子どもが親しみと連続性を感じながら取り組める内容とする。
    家庭用は、さらに各家庭で子どもがおさらいをしたり、保護者と一緒に取り組んで、学校での学びを深め、家庭と共有することを想定した内容とする。
  3. 連絡ツール…保護者向けインターネット(メール配信)ツール。Webコンテンツを通して学校、公共施設等で実施されたWS内容を知る事ができるほか、学校からの防犯連絡などにも利用される。

問題解決に取り組む現場の人々と研究者の協働による研究開発の進め方

防犯演劇ワークショップ社会実験、モニター実験、評価アンケート実施

  1. 対象者・活用者…小学校(立命館小学校、宇治市立莵道第二小学校、枚方市立樟葉西小学校など)の子どもや保護者、地域の一般の方
  2. 研究者・技術者…大阪大学、有)アゴラ企画、NPO法人フリンジシアタープロジェクト、NPO法人JAE、劇団衛星
  3. 実証実験を行なうフィールド…2009年度は立命館小学校を中心に実験を行なう

コンテンツ開発、CT育成

  1. 対象者…学校教員、学童保育指導員、俳優
  2. 研究者・技術者…有)アゴラ企画、NPO法人フリンジシアタープロジェクト、劇団衛星

成果の社会での活用・普及に向けた将来構想

本事業終了後、本事業の事務局機能を引き継ぐコンソーシアムを立ち上げ、事業を継続していく。コンソーシアムには、主に小学校に派遣する事を想定したCTのデータベースが管理されており、行政による施策や各現場の要請に従って、CTを派遣する。また、コンソーシアムには、CT養成・研修を行う機能を備え、専業のCTの育成だけでなく、他の専門職(主に教員、学童保育指導員、保育士など)の研修も行い、防犯CTを受け入れるファシリテーション能力を持った多くの社会人を教育する。コンソーシアムをコアとした、「複数の地域防犯コミュニティの連絡組織」が形成されるイメージである。

他の自治体からの視察や研修なども積極的に受け入れ、政策提言に関しても当然、これを開示して、行政内での制度化にも柔軟に協力していく。同時に、国に対する制度化の提案も、継続して行っていく。全国の市町村への広がりを経て、最終的には国の施策として取り上げられる事が目標である。

プロジェクト実施者・関与者(リンク)

【プロジェクト実施者】

【プロジェクトに協力する関与者】