


本プロジェクトは、犯罪被害から子どもを守るための地域の防犯指導者を育成するシステムを構築することを目的としている。具体的には、各地域の特性や犯罪発生状況などを科学的に分析し、それらに応じた適切な防犯活動を提示するとともに、子どもを守る防犯活動従事者の能力規準表・基準表を教育工学的に整理し、地域に応じ体系化された「防犯指導力育成システム」及び、防犯コーディネータの「防犯リーダー指導力育成システム」を提供する。さらに、実証地域での形成的評価の実践を通して、これらを効果的、効率的に運営するための支援システムを構築し、普及へとつなげる。
子どもが巻き込まれる凶悪事件等の発生に伴い、近年では、子どもを犯罪から守るために、警察、自治体、企業、民間の積極的な取り組みが次第に定着しつつある。しかし、その多くは、経験則やそれに基づく個別的な対応策の域にとどまり、科学的な分析や理論に基づく体系的な対策は必ずしも十分には行われていないものと思われる。中でも、地域の防犯リーダーの役割は、ますます重要になっているにも拘わらず、その資格、資質、待遇、組織化など系統的な防犯教育システムの整備に地域格差があり、十分とは言えない。
以下、子どもを守る防犯活動従事者の指導力育成のための3システム
※「子どもを守る防犯リーダー」の対象は、自治会長、町内会長、退職企業人(公務員・教員・警察官OBを含む)などを中心に正義感のある人材を分野別・職能別に、地域に数人を想定している。従って、地域の防犯活動従事者たちが研修会を積み上げていく中で、「我々の地域では、誰がどの分野の防犯リーダーを担うか」を自らで検討していく。
規準・基準表および育成システム、支援システム、評価システムの研究開発過程における手法とその成果、また教育効果を高める学習心理学、教育心理学、社会心理学等の知見の活用などは、それまでの主に経験則とその分析に依存していた防犯という領域が、科学的な学問領域として進化していく礎となる。同時にこの規準表の開発・カリキュラムの開発・支援システムの開発などにおける科学的手法は、あらゆる分野での人材育成にも応用できると考えられる。
現場との協力は以下の通りである
| 関 係 組 織 | 協 力 内 容 |
|---|---|
| 警察庁・各都道府県警 | 子どもの犯罪被害やその防犯に関する情報の提供 |
| 各地方自治体・教育委員会 | 防犯ボランティア向けの講座情報、子どもや家庭に対する防犯教育に関連する資料・冊子等の提供 |
| 各地域の自主防犯ボランティア団体・PTA・教職員 | 子どもの安全を守る現場における現状の課題や、要望などの抽出を目的としたアンケートやインタビュー取材・座談会等への協力 |
| 京都市藤城小学校地区協議会 | 地域のパトロール活動への参加、インタビュー取材、規準・基準表作成、試作版テキスト、指導者用テキストへの執筆、テキスト作成に係る研修、検証の試行など |
実証実験地域について
行政・警察・教育委員会からの紹介により、子どもを守る地域活動の「核」となりうる小学校校長や、地域の自主防犯ボランティア団体のリーダー等に折衝し、PDCAを目的とした研修会に協力をしていただける4地域が決定した。地域とその現場の協力団体は以下に列挙する通りである。
| 地 域 | 協 力 団 体 | 世 話 役 |
|---|---|---|
| 東京都足立区 | 西新井第一小学校・西一安全ボランティア | 前・校長 現・校長 |
| 静岡県藤枝市 | 広幡地区防犯まちづくり協議会 静岡県くらし交通安全室 |
会長 |
| 山口県宇部市 | 宇部市藤山校区コミュニティ協議会子ども専門部会 | 元PTA会長 |
| 広島県広島市西区 | 南観音学区社会福祉協議会 | 会長 |
本プロジェクトが研究開発する「防犯指導相談支援システム」の大きな特徴は、「子どもを守る防犯リーダー」及び「防犯コーディネータ」が必要な情報を即座に認知・入手することができ、地域の現状を把握・分析することにより、「我が地域では、どの立場の人が何をすればよいのか」を視覚化できるということである。
これにより、自分たちの地域で不足している活動や対策について、重点的に研修することができ、経験の少ない若い世代も次世代リーダーを目指して効率よく効果的に学習することができる。具体的には、本教材・支援システムをWeb上で公開し、誰もがこれらを活用できるようにすることで、これまでのように専門家を招聘することなく、地元で防犯活動を実施している方々が講師を務め、コミュニティ単位で自立した研修会を継続して実施することができるようになる。但しそのためには、支援システムを運営する組織が必要となる。これについては国の機関もしくはNPO団体に期待をするところであるが、本プロジェクトとしても、研究開発を進めて行く中で、地域の教育委員会・行政・議会・防犯組織団体に積極的に参画を働きかける。ビジネスモデルとして、企業等の組織が管理・運営を担うことも想定しながら研究開発を進めていきたい。
また、「子どもを守る防犯リーダーの防犯指導力育成システム」の開発状況に鑑み、e-ラーニングシステムを活用した「防犯コーディネータ」の指導力育成システムを開発する。「防犯コーディネータ」は、行政・警察・学校・地域をうまく繋げるパイプ役となり、現状の防犯対策をより効果的なものにする役割を担う。
報告書などはこちらからご覧いただけます。
【プロジェクト実施者】
◆研究代表者のグループ(G1)

:東京未来大学こども心理学部
:山口大学大学院技術経営研究科◆多次元的防犯指導支援システム構築グループ(G2)
◆防犯指導力育成プログラム構築グループ(G3)
:目白大学 社会学部◆防犯関連支援システム構築グループ(G4)
:園田学園女子大学未来デザイン学部【プロジェクトに協力する関与者】

