
研究開発期間 平成19年度~


防犯リーダー 防犯コーディネータ 指導力 研修会 防犯指導支援
本プロジェクトでは、子どもを守る防犯リーダーおよびコーディネータ育成のための防犯学習教材および支援システムを開発することを研究目標としている。具体的には、防犯リーダーの指導力向上、防犯活動の効率化と継続を支援するものとなる。これらの教材および支援システムは、系統的かつ地域特性によってカスタマイズできることが必要であると考えている。
子どもが巻き込まれる凶悪事件等の発生に伴い、近年では、子どもを犯罪から守るために、警察、自治体、企業、民間の積極的な取り組みが次第に定着しつつある。しかし、その多くは、経験則やそれに基づく個別的な対応策の域にとどまり、科学的な分析や理論に基づく体系的な対策は必ずしも十分には行われていないものと思われる。
さらに、「防犯ボランティアの高齢化による、次世代を担う防犯リーダーの不在」という問題を多くの地域が抱えているということが、平成19年度に本プロジェクトが実施したアンケート調査、ヒアリング調査、座談会等の結果により、明らかになっている。
※本プロジェクトが定義する「子どもを守る防犯リーダー」の対象は、自治会長、町内会長、PTA会長、退職企業人(公務員・教員・警察官OBを含む)などを中心に正義感のある人材を分野別・職能別に、1小学校区に数人を想定している。従って、地域の防犯活動従事者たちが研修を積み重ねていく中で、「我々の地域では、誰がどの分野の防犯リーダーを担うか」を自らで検討していく。
※本プロジェクトが定義する「子どもを守る防犯コーディネータ」の対象は、理想的には、行政における当該部署(安全・安心まちづくり課、地域防犯課、危機管理室など)の担当職員を想定している。
現場との協力は以下の通りである
| 関係組織 | 協力内容 |
|---|---|
| 警察庁・各都道府県警 | 子どもの犯罪被害やその防犯に関する情報の提供 |
| 各地方自治体・教育委員会 | 防犯ボランティア向けの講座情報、子どもや家庭に対する防犯教育に関連する資料・冊子等の提供 |
| 各地域の自主防犯ボランティア団体・PTA・教職員 | 子どもの安全を守る現場における現状の課題や、要望などの抽出を目的としたアンケートやインタビュー取材・座談会等への協力 |
| 京都市藤城小学校地区協議会 | 地域のパトロール活動への参加、インタビュー取材、規準・基準表作成、試作版テキスト、指導者用解説書への執筆、テキスト作成に係る研修、検証の試行など |
| NPO法人 北海道エクスプローラー |
|
| NPO法人 オバパト隊 |
実証実験地域について
行政・警察・教育委員会からの紹介により、子どもを守る地域活動の「核」となりうる小学校校長や、地域の自主防犯ボランティア団体のリーダー等に直接折衝し、PDCAを目的とした研修会に協力をしていただける4地域に加えて、平成22年度には第三者評価を目的とした研修会に協力をいただける1地域の合計5地域で進めている。地域とその現場の協力団体は以下に列挙する通りである。
| 地域 | 協力団体 | 世話役 |
|---|---|---|
| 東京都足立区 | 西新井第一小学校・西一安全ボランティア | 前・校長 |
| 静岡県藤枝市 | 広幡地区防犯まちづくり協議会 | 会長 |
| 山口県宇部市 | 宇部市藤山校区コミュニティ協議会 子ども専門部会 |
元PTA会長 |
| 広島県広島市西区 | 南観音学区社会福祉協議会 | 会長 |
| 兵庫県神戸市西区 | 竹の台ふれあいのまちづくり協議会 | 副会長 |
これまで、全国各地の防犯活動の好事例を収集した活動事例集は冊子でもネット上においても存在していたが、これらの活動が系統化されたものは存在していなかった。そこで本プロジェクトにおいては、様々な地域の防犯活動を系統化し、防犯リーダー及び防犯コーディネータの指導力として整理し、規準表・基準表を開発した。この作業は行動科学に基づいたものであり、防犯リーダー及び防犯コーディネータの指導力が教育工学的に整理された規準表・基準表は新たな科学的知見であると認識している。
また、防犯指導支援システムの防犯特性分析機能の開発においては、既存の防犯活動に「各対策の担い手、対策フェーズ、ソフト・ハードの種別」を付加することで分類し、さらに各対策に対し重み付け(数値化)を行った(手法の詳細は、地域安全学論文集No.13.2010.11に掲載された論文「地域の防犯活動を支援するための防犯活動評価支援システムの開発」に記載)。これにより、自分たちの地域で不足している活動や対策について、重点的に研修することができ、経験の少ない若い世代も次世代リーダーを目指して効率よく効果的に学習することができると考えている。
このように対策を様々な視点により分類し数値化することは、これまでの経験則だけに頼った評価とは異なり、科学的手法による防犯対策の体系化となった。
②既知の科学的手法や知見をどう活用・社会実装しようとしているのか既知の教育工学的手法や行動科学的手法に基づき開発された防犯学習教材や防犯指導支援システムは、Web上で公開することにより、各地域の以下のような活動に対する支援となり、防犯リーダーの指導力向上につながる。
本プロジェクトの成果物を、安心・安全に係わる行政機関のWeb上にて公開することを手段の一つとして考えている。これにより、防犯の専門家を招聘することなく、地元で防犯活動を実施している方々が講師を務め、コミュニティ単位で自立した研修会を継続して実施することがより容易になることを目指している。
その他に、簡素化した支援システムと教材群をパッケージ化したLight 版をCD-ROM化し、全国ボランティア団体や教育委員会、社団法人日本フランチャイズチェーン協会、地域を支える公益事業体等に配布し、地域活動が未成熟な地域での支援を行うことも検討している。
但し、以上を実践に移すには支援システムを運営し、また広報活動を継続していく組織が必要となる。これについては国、地方行政の機関に期待をするところであり、本プロジェクトとしても研究開発の過程で、地域の教育委員会・行政・議会・防犯組織団体に積極的に参画を働きかけていくことを検討している。
その他、ビジネスモデルとして活動資金の捻出に悩む地域ボランティア団体への援助資材としてシステムを提供することも検討課題としていきたい。
報告書などはこちらからご覧いただけます。
【プロジェクト実施者】
◆研究代表者のグループ(G1)
:山口大学大学院技術経営研究科◆多次元的防犯指導支援システム構築グループ(G2)
◆防犯指導力育成プログラム構築グループ(G3)
:目白大学 社会学部◆防犯関連支援システム構築グループ(G4)
:園田学園女子大学未来デザイン学部【プロジェクトに協力する関与者】

