研究開発プログラム

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被害と加害を防ぐ家庭と少年のサポート・システムの構築

辻井 正次(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター/中京大学現代社会学部)

研究開発期間 平成21年度~

プロジェクトトピックス

平成23年12月16日

平成23年11月19日

平成22年11月19日

平成22年5月14日

キーワード

辻井 正次

発達障害、知的障害、心理社会的サポートプログラム、生物学的脆弱性、家族支援、触法・非行

概要

生物学的な脆弱性を抱える子どもは、成長過程のなかでの虐待などの被害を受けやすく、それらの被害体験が加害・触法行為に関連することが企画調査から明らかになっている。本プロジェクトでは、まず加害少年の心理メカニズムや家族背景を、発達障害などの生来の脆弱性を有する少年を中核に解明し、心理的社会的介入の効果の検証を行う。次に、生物学的な脆弱性をもつ少年が、地域で安定した生活を送ることを可能にするため、家族と少年のための治療教育的プログラムを開発し、そうしたプログラムの知見を弁護士や保護司等の関係者が理解した上で少年の更生への取り組みが可能になるための地域サポート・システムの構築を目的とする。

プロジェクトで取り上げる社会問題の現状や背景・社会的ニーズ

生物学的脆弱性をもつ子どもが、成長過程において被害体験を経験した場合、非行・犯罪へのリスクを増大させることが明らかになってきている。しかし、こうした知見を実際の少年たちの加害や再犯の予防の活用していく取り組みは十分ではない。こうした実態を改善するには、少年たちの被害を予防し、再犯を予防していく仕組みが必要とされている。しかし、虐待などの被害体験を持ち、非行のリスクがある少年や、犯行に至ってしまった少年、その家族に対するわが国のサポート・システムは脆弱で、正しい理解に基づいた心理社会的なサポート・プログラムは少ない。また、公的な枠組みで実施されている部分はあっても、どの機関も非常に多忙の中、実態に即した新しいプログラムを十分に開発できる状況にはない。

このプロジェクトで目指す成果とその対象

  1. 発達障害などの生物学的な脆弱性をもつ少年が触法行為に至る場合の被害体験の関与に関する科学的解明。
  2. 大規模縦断調査結果より、非行・触法行為の予防・早期介入の可能性についての実証。
  3. 発達障害などのある少年の犯罪被害そして犯罪・再犯予防のための心理社会的サポート・プログラム。
  4. 発達障害・知的障害のある非行・加害少年を抱える家族への支援の必要性の提言
  5. 保護司などを対象とした、発達障害などのある加害少年に対するサポート・プログラムを地域で活用するための研修プログラム。

問題解決に取り組む現場の人々と研究者の協働による研究開発の進め方

地域の関係者との連携の仕組みについての具体的なあり方については、協力が得られた地域の自治体関係者と意見交換していく中で、保護司関係者との関係を形成することができた。その結果、保護司に対しての研修会を実施するに至った。犯罪に巻き込まれやすい発達障害児者への基本的理解が地域で高まっていくことが予想される。また、今後も地域でのサポートのための研修プログラムの開発に向けて、警察(愛知県警)、弁護士会や関係諸機関などとの意見交換を継続していく(なお、愛知県警からは、発達障害に関する基本的知識を得られる研修会を実施してほしいといった要望も頂いている)。触法発達障害児と一般発達障害児との比較を行う医療機関については、愛知県及び静岡県の児童精神科専門外来機関を中心に、全国の児童精神科外来に協力する予定である。

科学的手法・知見の活用・創出

  1. これまでの調査研究で、非行や触法行為を行った少年は、虐待やいじめなどの被害体験 を経験していることが多いことが数量データによっても明らかになった。更に、発達障害など生物学的脆弱性を持つ少年は、被害体験を経験しやすく、その被害体験が、非行や触法などの加害につながるリスクが高いことも明らかになった。今後は、実際の非行・触法少年に対する実際の介入・支援を行い、どの程度改善するのか、また、改善を促進する要因についての知見を得ることが重要であると考えている。また、有効な介入プログラムの効果を示すことも、重要な科学的知見であると考える。調査研究に関しては、関係機関における追加調査の打ち合わせを進め、新たな調査項目の検討を進めている。また、一般青年の動向調査のための事前準備としてサンプリングの基礎資料(郵送先等)を得て、今後、一般青年との比較調査による被害・加害状況の知見を得ようとしている。また、地域での支援として、保護司など、非行・触法少年を取り巻く人々への効果的な研修についての知見も収集中である。
  2. すでに、矯正教育機関などにおいて非行・触法少年に対して行われている教育プログラムなどの知見や、発達障害少年に有効であるとされている発達支援プログラムの知見などを、本プロジェクトで実施している相談窓口で行う心理教育プログラムに取り入れ、全国各地域の様々な相談機関でも実施できるようなプログラムを提案していく

成果の社会での活用・普及に向けた将来構想

 また、保護司や市町村の家庭児童相談員などを対象とした研修プログラムを作成し、実際に地域での発達障害支援や非行予防に必要な専門知識とノウハウが普及されることを目指す。本プロジェクトにおいて、一定の心理社会的サポート・プログラムが開発されれば、そうしたプログラムを理解し、家族支援に協力する形での家庭児童相談員や民生委員、あるいは保護司が有効に機能することが可能になり、地域の公的なサポート・スタッフの力量を上げていくことが可能になる。また、ここでの基本的な知識内容を家庭での虐待予防や非行予防のための啓発情報として発信していくことができる。
 また、上記のプログラムに関しては、マニュアルやワークブックといった成果物として開発していくことで、全国的に普及しやすくなると考える。

プロジェクト実施者・関与者(リンク)

【プロジェクト実施者】

【プロジェクトに協力する関与者】