研究開発プログラム

本文

犯罪から子どもを守る司法面接法の開発と訓練

仲 真紀子(北海道大学文学研究科 教授)

研究開発期間 平成20年度~

プロジェクトトピックス

平成23年11月19日

平成23年9月18日

平成22年8月23日

平成22年8月6日

平成22年7月5日

平成22年6月18日

平成22年2月10日

平成21年11月6日

平成21年11月2日

平成21年7月10日

平成21年5月22日

平成21年4月22日

キーワード

仲 真紀子

子ども、安全、司法面接、インタビュー

概要

事件、事故、家庭内暴力、学校でのいじめ等、子どもが被害にあったとき、子どもから出来事についてどのように話を聞くかは、安全確保、調査、再発防止の鍵となる。聞き取りが困難である原因のひとつは、子どもの発達レベルに応じた、誘導のない面接法が確立していないことである。「司法面接」と呼ばれる面接法は、司法場面でも活かせる、正確な情報を得ようとする面接法であり、事実をできるだけバイアスのかからないかたちで話してもらうことを目指している。本プロジェクトの目的は、認知心理学・発達心理学の成果を活かした司法面接法ガイドラインとその訓練プログラムを開発し、専門家を対象に効果的な訓練を提供することである。

プロジェクトで取り上げる社会問題の現状や背景・社会的ニーズ

事件に巻き込まれた/巻き込まれそうになった子どもへの事情聴取は、子どもの安全確保、捜査、後の防犯の要(かなめ)である。しかし、現実には幼児、児童から話を聞き出すことはたいへん難しい。メディア報道等では予兆があったにも関わらず的確な事情聴取ができず防げなかった事件、「判例時報」「ジュリスト」等では事件はあったとされながらも適切な事情聴取ができず、解決が妨げられた事例を見いだすことができる。また、事件、事故に限らず、学校でのいじめ、家庭内での虐待、医療場面での体調の説明等、子どもに状況や出来事を正確に話してもらうことは重要である。事実に焦点を当て、必要となれば司法場面でも用いることのできる質の高い情報を、より多くより正確に引き出す面接法(司法面接法)の確立は急務である。
 上記の問題は、欧米では1980年代頃から認識され、面接法の開発が行われて、制度として定着している。日本でも海外の面接法やガイドラインが翻訳され、導入されるなど、関心は高まってきたが、日本の子どもの言語的な特性や大人とのコミュニケ?ションスタイルをふまえた面接法の開発や訓練は、いまだ充分ではない。本プロジェクトは、認知心理学・発達心理学の成果や、現段階での面接法の実施や訓練を踏まえて、日本の現状に適したよりよい司法面接法の開発と訓練を目指している。

このプロジェクトで目指す成果とその対象

  1. 子どもから事実を聴取するための、司法面接法の開発
  2. 児童相談所職員その他の専門家を対象とした司法面接の訓練

子どもを対象とした司法面接の実施とその支援について要請があり、対応している。

問題解決に取り組む現場の人々と研究者の協働による研究開発の進め方

  1. 連携:北海道児童相談所、札幌市児童相談所(技術や成果の受け手、活用者)と北海道大学大学院文学研究科のプロジェクト(研究者)とが協働している。
  2. フィールド:実証実験は、主に北海道大学での研修(上記児童相談所相職員が参加し、その成果にもとづき面接法やプログラムの改善を行う)およびその効果測定により、また成果の活用は、道内児童相談所での司法面接の実施により行われている。

科学的手法・知見の活用・創出

司法面接支援室の室員

  1. 研修を受けることの効果:研修により何が変化するのかを、事前事後に行う効果測定パッケージにより測定する。
  2. 発達心理学的な成果を含めた研修の構成:心理学的な知識・背景が分からないと「方法」だけを学んでも、応用がきかない。子どもの語彙、嘘と本当の違い、人形を用いることの効果、描画の効果等に関する成果を含めた司法面接研修を行う。
  3. 発達心理学的な成果にもとづく面接法の開発:上記実験成果を踏まえた面接法を構成する。具体的には、大人の言葉かけの文言や手続きの決定のために、上記成果を用いる。

成果の社会での活用・普及に向けた将来構想

司法面接法の開発と訓練

以下、研究開発終了後に成果が活用・普及されるための構想について、1.普及の担い手をどうするか、2.これまでに行った検討、3.今後の検討、4.普及を担う機関の設立について述べる。

司法面接は、子どもから被害事実や目撃事実を、話してもらう方法である。そこで語られる出来事は生々しい出来事であり、最小限の回数で、最大限の配慮をもって行われなければならない。このような司法面接は、誰でもが行えるものではなく、定められた機関(児童相談所、警察)、定められた手続き(福祉援助の一環として、刑事捜査の一環として等)のなかで行われるべきものである。

  1. 主たる普及の担い手:児童相談所職員、警察官など、現場の職員が担い手となる。ただし、最新の心理学的成果等を取り入れ、面接法を継続的にアップデートしていくには「司法面接支援室」のような組織(センター)が存続することが望ましい。
  2. これまでの検討:「司法面接支援室」の機能をNPOなどのかたちで残せないか、虐待防止協会のような団体と協働してやっていけないか議論している(現在のところまだ先は見えていない)。
  3. 今後の検討:「司法面接支援室」を残すために、助成金を得るなどの活動を行いたい。また、現在、協力者である中野医師が勤務する札幌市トロイカ病院において、司法面接が平常的に行える施設の設置を検討している。
  4. 普及を担う機関:児童相談所、警察などの機関以外に、「司法面接支援室」のような組織、センターの設立が必要であると考えている。

プロジェクト実施者・関与者(リンク)

【プロジェクト実施者】

【プロジェクトに協力する関与者】