研究開発プログラム

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子どもの犯罪に関わる電子掲示板記事の収集・監視手法の検討

中村 健二(立命館大学情報理工学部情報システム学科 助手)

研究開発期間 平成21年度~平成22年度

キーワード

中村 健二

ネットパトロール、フィルタリング、電子掲示板、援助交際、プロフィールサイト、モバイルインターネット、プロフ遊び、非行逸脱行為、ソーシャルグラフ、違法情報の判別

概要

インターネットの普及により、誰もが気軽に情報を投稿できる電子掲示板などのCGM(Consumer Generated Media)が注目を集めている。一方、CGMの投稿内容には、援助交際や薬物取引などの違法・有害情報も含まれており、それらの情報から子どもが犯罪に巻き込まれるケースが問題となっている。そこで、本プロジェクトでは、CGMの中でも電子掲示板およびプロフィールサイト(以下、「プロフ」)を対象として、子どもの犯罪に関わる違法・有害情報を網羅的に収集し、継続的に監視する手法を検討する。

プロジェクトで取り上げる社会問題の現状や背景・社会的ニーズ

本プロジェクトでは、「子どもの犯罪に関わる電子掲示板記事の収集・監視手法の検討」として、インターネット上に存在する電子掲示板(特に学校裏サイトや援助交際の書き込みが見られるサイト)を対象に、自動的にそれらの書き込みの有無を判別する手法について検討している。現在、子どもの遊び場は、一般のパソコンから利用するインターネットだけではなく、携帯電話から利用するモバイルインターネットにおいても波及している。さらに、モバイルインターネットでは、様々な出会いや大人からの声かけなども多くみられ、そのことから事件に発展するケースも存在する。これらの問題に対して、本プロジェクトでは、モバイルインターネットから広がる人物間の関係についても解析し、危険な関係の有無を判断する材料を提示する仕組みを実現する。

このプロジェクトで目指す成果とその対象

本プロジェクトでは、インターネット上の子どもの犯罪に関わる電子掲示板の情報を自動的に判別するためのシステムとして、2つのシステムを開発する。

【Ⅰ非行逸脱行為監視のためのネットパトロール支援システム】

  1. 本システムは、プロフに公開された情報から、非行逸脱行為の有無およびそのユーザのインターネット上での人間関係を自動的に解析し、可視化するシステムである。本システムを用いることで、インターネット上の特定の子どもの行動を継続的に監視できるため、教育現場でのネットパトロールを支援できると考えられる。

【Ⅱ違法情報を含む電子掲示板記事の自動判別システム】

  1. 本システムは、電子掲示板のURLを入力することで、収集した電子掲示板の情報に違法性がある情報が含まれていないか自動的に解析を行うシステムである。本システムを用いることで、投稿記事内に違法な情報が含まれていないかを確認できるため、掲示板の管理運営を行っているISP企業(インターネット接続業者)の支援ができると考えられる。

違法・有害情報判別システムのイメージ
図1 違法・有害情報判別システムのイメージ

問題解決に取り組む現場の人々と研究者の協働による研究開発の進め方

【Ⅰ非行逸脱行為監視のためのネットパトロール支援システム】

  1. 本システムの成果創出に向けて、システムで自動的に収集した情報が正確であるかどうかの検証を行っている。具体的には、インターネット上の見守り活動を実施している団体に協力頂き、「ネットパトロールで得られた結果」と「本システムで出力した結果」を比較し、ネットパトロールで得られた結果を網羅した情報が収集できているかを評価している。

【Ⅱ違法情報を含む電子掲示板記事の自動判別システム】

  1. 本システムの成果創出に向けて、機械的な判定手法について検討している。具体的には、警察から頂いた資料を基にどのような情報が違法情報となるのかの要件を検討し、要件を満たしているかどうかを判定するシステムを構築中である。

科学的手法・知見の活用・創出

【Ⅰ非行逸脱行為監視のためのネットパトロール支援システム】

  1. プロフを対象として解析(リンク構造解析、テキストマイニングなど)することで、インターネット上の日記や掲示板(ゲストブック)が、現実世界のどの子どもが発信している情報であるかを推定する手法を提案
  2. プロフから広がる個人に関する書き込みを解析し、自動的に非行逸脱行為の有無を判定する手法を提案
  3. プロフから広がるユーザ間の関係を解析し、ユーザの人間関係をソーシャルグラフとして可視化する手法を提案
  4. プロフの内容を解析した結果を集約し、ネットパトロール支援システムを介して、現場の生徒指導担当者の参考資料となる情報を提供

【Ⅱ違法情報を含む電子掲示板記事の自動判別システム】

  1. 警察庁が発行している「インターネット異性紹介事業の定義に関するガイドライン」の情報を元に、「電子掲示板自体の特徴」と「各記事に含まれる単語」の双方を用いた違法情報の判別手法を提案
  2. 電子掲示板の情報を投稿記事の単位に分割する手法を提案
  3. モバイル専用サイトからの情報取得手法の提案

成果の社会での活用・普及に向けた将来構想

【Ⅰ非行逸脱行為監視のためのネットパトロール支援システム】

 本システムを普及するために、「学校や教育現場での試用」と「取得する情報の多様化」について取り組む予定である。「学校や教育現場での試用」では、本システムの一部をWebサービスとして公開し、他システムと連携することで対応する予定である。また、本システムで取得した情報には、個々人を特定する情報が含まれているため、それらの情報を解析して、危険度の高いユーザの存在する学校へアプローチし、実現場での試用を交渉する予定である。「取得する情報の多様化」では、継続的なネットパトロールを支援するために、蓄積された情報を時系列的に監視することの効果を検証し、その成果を組み込む予定である。

【Ⅱ違法情報を含む電子掲示板記事の自動判別システム】

 本システムを普及するために、システムをマイナーチェンジすることで、ユーザにフィルタリング機能をレンタルするサービスへの展開を目指す。本プロジェクトでは、ISP会社および警察に赴き、本プロジェクトで開発したシステムの社会実装についてのヒアリングを実施した。その結果から、本システムをASPサービスとして展開し、ISP企業を対象に技術提供を行うことが、多くの違法情報の検知にも繋がると考えている。

実施者 集合写真

プロジェクト実施者・関与者(リンク)

【プロジェクト実施者】

  • 中村 健二:立命館大学情報理工学部情報システム学科
  • 安彦 智史:関西総合情報研究所新規ウィンドウで開く
  • 山本 雄平:関西総合情報研究所

【プロジェクトに協力する関与者】